映画「パシフィック・リム」のあらすじ、感想、見どころ

映画

太平洋の深海から現れた巨大生命体に世界は存亡の危機に陥ります。今までの軍事兵器ではその生命体“KAIJU”(カイジュー)を倒すには長期間かかる為に世界各国は主義主張の壁を越えて叡智を結集させます。そして、開発されたのがイェーガーと呼称される大型人型兵器でした。

初期のイェーガーではパイロットに多大な負担をかけることがネックでした。そこでパイロット複数制が採用されますが、それは思考を一(いつ)にできる複数の人間という条件がつくのです。

イェーガー・ジプシーデンジャーのパイロットだったローリーはペアだった兄をKAIJUとの戦闘で亡くしてしまいます。傷心状態でパイロットを辞めていた彼は司令官・スタッカーに請われて再びパイロットとして復帰することに。新しいペアはアジア人女性のマコでした。

イェーガーが現れてから完敗状態の続いていたKAIJUでしたが、次々と大型化・強力化していくイェーガーが苦戦するようになります。それはKAIJUは他のKAIJUと距離があろうが思考がつながっていてそれ故にイェーガーの性能を知ることができて進化につなげているようです。

香港近辺に出現したKAIJUに3体のイェーガーが出撃しますが、途中から新たなKAIJUが参入。そのKAIJUは電磁衝撃波を発生させてイェーガーを行動不能へと導きます。最新型で最強と謳われたそのイェーガー・ストライカーエウレカはデジタル故にKAIJUの新たな攻撃に簡単に動きを封じられたのです。

香港がピンチとなったその時、ローリーとマコの駆るジプシー・デンジャーが出撃しました。マコが司令官から参戦を許可が下りていない状態でしたが、電磁衝撃波の干渉を受けない、いわばデジタルの、ジプシーデンジャーしか活動可能イェーガーはなくしかも思考を一にできるパイロットはローリーとマコしかいなかったからです。ジプシーデンジャーは孤軍奮闘。2体のKAIJUを香港の地上そして遥か上空でそれぞれ撃退、その性能と落下地の状況を巧みに利用して高速落下にも耐えて生還します。

異次元から次々やってくるKAIJUを止める為に太平洋の海底にある次元の裂け目を封鎖することにした人類。出撃できる2体のイェーガー、ジプシーデンジャーとストライカーエウレカが最終決戦に向かいます。それを察知していた異次元人は3体のKAIJUを送り出します。うち1体は今までにない巨大サイズでした。ストライカーエウレカが搭載している核爆弾で裂け目を爆破して塞ぐ作戦ですが手強い3体の敵に大苦戦。

しかも裂け目に進入できるのはKAIJU(またはKAIJUの細胞)だけで他者はふるいにかけられることが判明します。強大な敵が3体いるだけでなく、異次元との通路には人類は進入できない。この絶体絶命の状況を前にローリーやマコは存亡の危機から人類を救えるのか!?

感想、レビュー

ロボットを人間が搭乗操作するのはアニメや特撮により多数の作品が世に送り出されてきましたが、デフォルメした表現となりますが、操縦桿だけで巨大なロボットに人間と同じ動きさせられるわけないでしょ、というのがリアルな実感です。この作品でも最も感心させられたのはロボットを操縦することにどのような現実味をもたせたかです。

この作品に登場する巨大ロボット・イェーガーはそのあたりに迫っています。二人のパイロットが搭乗し、それぞれ右脳・左脳の役割を担うというものです。人間の動作をロボットがそのまま再現する仕組みはかつての「ジャンボーグエース」や「Gガンダム」でも見られましたが、イェーガーはそれを超えて二人同時同動作で強力なアクションをロボットに伝えるだけでなく、時には一人がアクション操作しつつ相棒がタッチパネルを使って何か別のことをしているというふうなシーンもありました。おまけに3人で操作する3本腕のイェーガーも。

そこで思考が一にできる(作品中ではドリフトと呼称)ことで右脳役と左脳役が1体のロボットに円滑な指示ができるのだと思っています。そして、ドリフトを材料にして人の内なる感情、人同士の心情の交流を見せることにこの作品は成功しています。

またCGを駆使してのイェーガーとKAIJUの描写にはとても迫力・重厚感があり、アニメや特撮にうるさいファンにもこの「SF実写作品」を堪能できた人が多いのではないかと思います。/garlic

監督:ギレルモ・デル・トロ
公開日:アメリカ 2013年7月12日、香港 2013年7月18日、中華人民共和国 2013年7月31日、日本 2013年8月9日
キャスト:出演: チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー

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