後味悪い最高の映画「ミスト」のあらすじ、感想、見どころ

映画

主人公は湖畔の岬に構えた家で妻・息子との3人家族で幸せに暮らす男性・デヴィット。ある夜、激しい嵐が町を襲います。翌朝デヴィットが自宅周辺を見回ると、窓やボート小屋が壊れているのを確認。デヴィッドは補強品などの買い出しのため、8歳の息子ビリーと隣人ブレント・ノートンと共に車で地元のスーパーマーケットへ向かいました。

一人自宅に残った妻は、湖の向こうから霧がやって来るのを見ていました。霧は家に、そして町に近づいてきます。場面は変わってスーパーマーケットに着いたデヴィットたち。店は大勢の客たちで賑わっていました。すると店外でパトカーや救急車のけたたましい音が。さらに尋常ではない様子の男が一人、店内へかけ込んで来ると、「霧の中に何かいる」と叫びました。その瞬間、真っ白な濃霧があたりを覆い、スーパーマーケットは陸の孤島になってしまいます。突然起こった異様な事態に、客たちはいいようのない不安感に包まれます。

早く家に帰りたい想いから店外に出た人々は、次々と霧の中に潜む「何か」に襲われ、あるいは行方知れずになっていきます。「何か」とは、羽根と関節を持つ巨大な虫だったり、触手をひらめかして人間を絡め取ろうとする超巨大なタコのような生物。この世界には存在しないような怪物どもでした。なんとか撃退したものの、店内に籠城せざるを得なくなる人々。そのうちに宗教と結び付けて終末論を語るもの、それにすがるものが出始め、店内はさらに異様な雰囲気に。

怯える息子を抱きしめ、妻の身を案じるデヴィットは、何とかして脱出したいと考え始めます。宗教集団となってしまった店内の人々は、次第にエスカレートし、従わない者を拳銃で脅したり、化け物に襲わせたりして始末しようとしてきます。デヴィットは息子と、数少ないまともな精神を持った人たちと一緒に命からがらマーケットから脱出。霧の中を車で疾走しますが、行けども行けども霧と怪物。ガソリンも尽き、絶望したデヴィット達は心中をはかります。デヴィットが仲間と息子を殺害し、最後は自害しようと車から出たその瞬間、濃霧が晴れ、警察や救助隊などの助けがやって来るのです。泣き叫ぶデヴィット。

この映画の中で異様な存在感を誇っているのは、霧とともにやってきた怪物。霧の中に潜み、霧にまぎれて人を襲うやつらは、一体どこから来て何が目的だったのか、正体はなんなのか、一切明かされません。しかも、闇と霧にまぎれて存在しているため、明るいところではっきりと見えるシーンが少なく、明らかにならない姿形がなお恐怖を煽ります。民家の住人を食い殺し、そこに巣を作るなどしており、明らかに人類と敵対する存在ではありますが、車の横を悠々と巨大な足が闊歩していくシーンもあり、矮小な存在として気にもかけない様子も見られます。

人間の世界を支配するために侵攻してきた異次元の生物なのか、軍が作ってうっかり逃がしてしまった生物兵器なのか?考察する余地も、鍵となる伏線も、この映画には一切与えられていません。意味の分からない恐怖だけしかそこには存在していないのです。「どうして?」「なんなんだ?」疑問が晴れない後味の悪さが、この映画を忘れられないものにしています。/asanoha

ミスト
監督:フランク・ダラボン
公開日:アメリカ 2007年11月21日、日本 2008年5月10日
キャスト:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン
2時間6分

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