日本人に「現在、もっとも優れたテレビドラマは?」と聞いた場合、人によって意見は様々でしょう。しかし、外国人に同じ質問をした場合、おそらくかなりの割合で「ゲーム・オブ・スローンズだ」と答える人が多いと思います。
2011年からHBOで放送の始まった「ゲーム・オブ・スローンズ」はまだ完結していませんが、「テレビ史上に残る名作」という評価を既に確立しています。エミー賞では2015年、2016年連続で作品賞を受賞。部門賞をあわせると、これまで製作されたテレビシリーズの中でももっともエミー賞を獲得した作品となっています。
また、映画の情報およびレビューサイトとして有名なIMDbでは、シーズン7が終わった時点での評価が10点満点中の9.5。やはり人気シリーズとして知られる「ウォーキング・デッド」の評価が8.4ですから、いかに作品としての評価が高いかが分かります。
特にシーズン6は好評で、エピソード9の「落とし子の戦い」エピソード10の「冬の狂風」はともに9.9というハイスコアを叩き出しています。どうしても展開がマンネリ化するテレビシリーズが多い中、シーズン6まで進みながらここまでの高評価のエピソードが2本も出てくるというのは大変なことです。おそらくクオリティの点でこのドラマに匹敵するのは、2013年に放送が終了した「ブレイキング・バッド」しかないでしょう。
では「ゲーム・オブ・スローンズ」のどこがそんなに魅力的なのでしょうか?まず、全世界を統べる王家の椅子を巡って繰り広げられる、人間ドラマの面白さです。
登場する人物の数は膨大なもので、トルストイの「戦争と平和」を彷彿とさせます。そのなかで中心となるのはジョン・スノウ、ティリオン・ラニスター、デナーリス・ターガリエン、アリア・スタークといった個性的なキャラクター。いずれも試練を経てきた勇者ばかりで、とにかく見ていてその行動に一喜一憂してしまいます。
もちろんドラマ構成も見事で、そのストーリーテリングの面白さは圧巻。シーズン1などは昔の「スター・ウォーズ」トリロジーと似ていて、何回見ても飽きない魅力があります(そのせいか、「ゲーム・オブ・スローンズ」のプロデューサーたちは「スター・ウォーズ」のスピンオフ映画を手がけることになっています)。
それから特撮やCGも特筆すべき出来栄えで、シーズン6の「落とし子の戦い」、そしてシーズン7の「戦利品」は映画でもめったにないほどの興奮を味わわせてくれます。
これほどの面白さがあるのにこのシリーズが日本であまり知られていないのは不思議です。おそらくファンタジーだと思って食わず嫌いの人が多いのでしょうが、一度見始めればその魅力にハマってしまうこと請け合いです。/小太郎