ファーゴ 始まりの殺人 シーズン1を観ないで海外ドラマファンを語れない!

海外ドラマ

あらすじ

2006年1月、殺し屋のローン・マルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)はミネソタ州ベミジーで殺人仕事をした後、レスター・ナイガード(マーティン・フリーマン)と知り合い、彼の憎む相手を殺す。妻の尻に敷かれていたレスターは衝動的に妻を殺してしまい、マルヴォに死体の始末を頼むと、不審に思った警察署長をもマルヴォが殺してしまう。

感想・レビュー

海外ドラマや洋画を観るのが趣味なので、それなりの数の作品を楽しませてきてもらいました。そして、個人的な趣味嗜好で作品を一つ選ぶなら、それは海外ドラマのファーゴになります。それもシーズン1がダントツで好きです。

この作品に出会う前、最初に映画版ファーゴを観ました。傾向として、映画版を先に観ると内容も大筋で同じになるので、どうしてもドラマ版は純粋に楽しめなくなります。また、映画版の方がお金がかかっていて役者も豪華な場合が多いですよね。

ドラマ版ファーゴの場合は、レスター・ナイガード役のマーティン・フリーマンは日本でも人気の俳優で、イギリスのドラマ「シャーロック」でワトソン役が有名ですよね。でも、ワトソン役ではある意味で等身大の中年男性を演じて、シャーロックの陰に隠れる一般人という印象ですが、このファーゴでは見事に冴えない中年男性を演じています。

家庭では妻にバカにされ、弟にもバカにされ、さらに学生時代の同級生にいじめられ、その子供にもバカにされる。その情けなさが抜群で、同時に終盤への破壊や狂気めいたものとの対比が見事に消化されています。

そして不気味な殺し屋のローン・マルヴォも味がある演技をしています。コーエン兄弟の作品という事で、その殺しの間や時々に出る無表情さがとても作品を味わい深くします。設定では無理がある面もありますし、ちょっと辻褄が合わないのではと思うシーンもありますが、それらを力技で持っていくのは見事に尽きるのです。

ファーゴをジャンル分けすると犯罪サスペンスになりますが、決して派手な殺しシーンが続く訳ではないです。全10話の作品で、その途中では、男性と女性警官役の二人の恋愛展開が気になり、新しい殺し屋も登場するなど、映画版以上に濃い内容が詰まっています。

実話をもとに作られた作品として有名で、番組冒頭に登場します。これはファーゴ全3シリーズの全てに共通しますが、実はテロップで表示される「実話をもとに~」も含めての作品のようです。有名なファンのブログを拝見し分かった時は、正直に言って意味が不明でした。

要するに、ファーゴが始まり実話と謳うのも含めて完成された作品で、実際にはフィクションとなります。冷静に考えると、あんな殺し屋が数十年前にいたら、いくら銃社会のアメリカの片田舎でも、とっくに逮捕されるものですよね。それを想像すらもさせないで、実話だと信じさせる事で、また作品に夢中になるのです。

映画ファーゴ、海外ドラマのファーゴに嵌まってからは、脚本を書いたコーエン兄弟の関連作品が好きになり、一気に見始めました。それでも、ドラマ版ファーゴのシーズン1より優れているものはないと思います。まだあまり有名になる前の、コーエン兄弟の初期衝動が作品に散りばめられているからです。

それでも、もう一つを選ぶとしたら、映画「ノーカントリー」はファーゴ以上に気に入る人も多い、傑作中の傑作です。同じく犯罪サスペンスで殺し屋と警官が登場します。まるで、ファーゴをリミックスしたような作品でもありますが、とにかく生々しい作品です。こんな作品を観ると、ドラマや映画って私の何もない人生に光を注ぐものだと思えてなりません。/よしゆき

作品について

2014年からアメリカの有料テレビチャンネル(FXチャンネル)で放送されているコメディサスペンスドラマ。

キャスト

ビリー・ボブ・ソーントン、コリン・ハンクス、マーティン・フリーマン、パトリック・ウィルソン、テッド・ダンソン、ジーン・スマート、キルスティン・ダンスト、ジェシー・プレモンス、ユアン・マクレガー、キャリー・クーン、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、デヴィッド・シューリス

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