「マイ・ファニー・レディ」のあらすじ、感想、見どころ

映画

新進気鋭の女優さんとしてハリウッドで活躍しているイザベラ・パターソンは、ニューヨーク5番街に立地するバーで記者のインタビューを受けています。4年前に彼女の人生を変えることになった、ひとりの風変わりな男性との出会いについて語り始めていきます。

デビュー前にコールガールの職についていたイザベラは、ある日客として現れたアーノルド・アルバートソンと意気投合して巨額の融資を受けました。演出家として有名なアーノルドを頼って、イザベラは彼が手掛けるオーディションに応募します。見事に主役の座を射止めたイザベラですが、アーノルドは素っ気なく他人のふりをします。

主演女優のデルタはアーノルドの妻でもあり、浮気癖の治らない夫に対してほとほとあきれ果てていました。そんな中でもデルタは共演者でもありプレイボーイとしても名高いセスからディナーに誘われて、内心まんざらでもありません。イザベラにすっかり虜となってしまった脚本家のジュシュと、ジョシュの彼女でありかつてはイザベラのセラピストを務めていたジェーンも加わって現場にはますます不穏なムードが高まっていきます。舞台稽古もままならないまま、アーノルドの見切り発車によって舞台の初日は幕が上がっていきます。

お互いへの不満たらたらながらも、それぞれが自分に与えられた役割に徹していたために舞台興業は大成功を収めました。懲りないアーノルドはイジー意外にも見ず知らずの女性に20000ドルもの融資をしていたことがデルタにばれてしまって、舞台裏は夫婦喧嘩の修羅場へと化していきます。イザベラはこの舞台がきっかけになって、アーノルドに別れを告げて女優としての本格的なステップを踏み出していくことになりました。

インタビューを終えたイザベラは、新しい恋人にエスコートされながらその場を立ち去ります。最期に彼女は笑顔を見せながら、アーノルドへの感謝の言葉を述べるのでした。

感想、レビュー

華やかなブロードウェイの舞台裏で繰り広げられていく、ドロドロの人間模様には味わい深いものがありました。オーウェン・ウィルソン扮するアーノルド・パーマーの、その場限りの思い付きで大金を渡したり甘い言葉を囁くいい加減な性格が笑いを誘います。イモージェン・プーツが演じているヒロインのイザベラ・パターソンの、気だるい日常にどっぷりと浸かりながらも夢を諦めきれない様子が微笑ましかったです。

コールガールとして数多くの男性たちの間を渡り歩いていきながらも、決して自分らしさを見失うことのない強かな一面も感じることができました。センセーショナルな自分自身の過去を、あっけらかんとメディアの前で暴露してしまう無防備さも可愛らしかったです。

楽屋裏では男女の関係に陥りお互いに足を引っ張り合いながらも、スポットライトの当たるステージに立った途端に笑顔を披露する変わり身の速さがユーモアセンスたっぷりとしていました。人間的には欠点だらけな人たちでも、仕事に対してはそれぞれがプロフェッショナルに徹しているのが良かったです。古今東西の名作映画に造詣の深い方や、演劇に興味のある人にもお勧めです。/fu1

マイ・ファニー・レディ
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
公開日:アメリカ 2015年8月21日、日本 2015年12月19日
キャスト:オーウェン・ウィルソン、イモージェン・プーツ、キャスリン・ハーン、ウィル・フォーテ

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